2022.03.02

エアハンとは?大規模施設の空調設備「エアハン」を徹底解説!

空調設備は管理が不適正だと室内空気の汚染や温度・湿度の調整不能などの要因になります。よって建築物衛生法の適用を受ける建物は、「建築物環境衛生管理基準」に基づき浮遊粉塵量、CO2濃度、相対湿度など7項目の「空気環境の基準」遵守が義務付けられています。「エアハン」は、主に同法適用対象となる大規模建物にて採用される特注の空調設備です。

 

エアハンとは

エアハン(AHU/エアハンドリングユニット)とは、「空気環境の基準」を満たした清浄な空気を建物内に給気するためのオーダーメイドの空調設備です。基本は建物の空調の用途や衛生管理要件に合わせて、特注でユニットを組み立てる形で製造します。

エアコンと異なり、エアハンの場合は伝熱媒体に冷媒や熱媒ではなく「水」を用いています。建物内の還気と建物外の外気を一緒に取り込むことで、建物内の空気を清浄に保っています。エアハンは、居室の快適性保持と言うより、大規模施設の衛生管理を目的にした空調設備と言えます。

エアハンのタイプ

エアハンは次の2タイプに大別されます。

冷温水式エアハン

主にフィルター、コイル、加湿器、送風機により構成されるタイプです。大容量のセントラル空調が可能なユニット型(標準型)、個別分散空調対応のコンパクト型、空港ターミナルビル向け等のターミナル型など様々な種類があります。

直膨式エアハン

冷温水式に熱源機を付加したタイプです。構成は冷温水式とほぼ同一ですが、冷温水式は熱源として冷水・温水・蒸気を用いるのに対し、直膨式は熱源としてヒートポンプ式の伝熱媒体を用います。

エアハンとファンコイルユニットの違い

エアハンと特に混同されやすいのがファンコイルユニットです。ファンコイルユニットは、例えばオフィスビルの間仕切りのある密閉的な会議室・個室、外気温の影響を受けやすい窓際などエアハンだけでは温度制御が十分できないエリアの冷暖房用の空調設備です。

ファンコイルユニットにはエアハンとは別の伝熱媒体が必要になります。さらにファンコイルユニットの制御機能は温度制御のみで湿度制御はできません。また対象エリアは空気の循環しかできないので、外気の取入れには専用の換気設備が必要になります。

エアハンと業務用エアコンの違い

エアハンは機械室に設置された空調設備から清浄な空気を建物内にダクトで給気します。対して業務用エアコンは室内機と室外機のセットで建物の居室のみを空調します。

またエアハンはボイラーやチラー(冷却水循環装置)で製造した熱水・冷水・蒸気を熱源にしていますが、業務用エアコンは室外の空気を熱源にしています。すなわち居室の空気を室外機の熱交換器で冷媒を冷却・加温し、その冷媒で冷やしたり・温めたりした風を室内機から居室に送風しています。

 

 

エアハンの仕組み

一般に機械室に設置されるエアハンは、ボイラーとチラーの熱源装置、熱交換器、送風機などのユニットにより清浄な空気を作り、建物内へ給気する仕組みです。

<一般的なエアハンの仕組み>

 建物内の還気と建物外の外気をフィルターで浄化

熱交換器で冷却・加温

加湿器で空気の湿度を調整し、送風機からダクトを通じて建物内へ清浄空気を給気

エアハンの筐体は、断熱材の発泡ウレタンをサンドイッチ状に挟んだ2枚の鋼板で作られています。「入力側装置」と「出力側装置」に分かれており、それぞれ次の役割を担っています。

入力側装置

  • 外気吸入……「空気環境の基準」を保つための新鮮な外気を吸入
  • 熱源…………熱交換器で空調用の冷・温風を製造
  • 還気…………建物内の汚染空気を回収して浄化

出力側装置

  • 清浄空気……エアハンで温度、湿度、CO2濃度など「空気環境の基準」に合わせて調整した空気を給気
  • 結露水………ドレン(結露水)タンクに貯水した結露水を下水へ排水

 

 

エアハンの構成と形状

エアハンは主に次のユニットで構成されています。

(1)熱交換器

エアハンの熱交換器は、ボイラーやチラーの熱源装置により製造した温水・冷水と空気を熱交換する装置です。エアハンにおいては、温水・冷水はプレートコイル状の伝熱管を通過し、空気は伝熱管の外面フィンを通過し、温水・冷水と空気が交差することで熱交換を行う「フィン付コイル熱交換器」が一般に用いられています。

関連ページ:熱交換器とは何か?その基本的な仕組みと種類を紹介

(2)加湿器

加湿器は湿度調整をする装置です。熱交換器により温度調整をした後の空気を加湿器で湿度調整します。加湿器は様々な種類がエアハンの用途に基づき用いられています。

(3)フィルター

還気・外気中の不純物を濾過・清浄化する装置です。熱交換器や加湿器に空気を通す前の空気取入口に取り付けられています。エアハンの場合は一般に「自動巻取型フィルター」と「固定設置型フィルター」が用いられています。前者はロール状のタイプで、フィルターが汚れると電動でロールフィルターを巻き取り、新しいフィルターと取り替える仕組みになっており、メンテナンスが容易です。後者はフィルターを型枠パネルに嵌め込んだタイプで、自動巻取型より省スペース設置が可能です。

(4)送風機

送風機はモーターで羽車を回転させ、エアハンで調整した清浄な空気を建物内へ給気する装置です。エアハンの場合、一般にモーターで稼働する「Vベルト」で羽根車を回すVベルト式送風機が用いられていますが、近年はVベルトを使わない「直動式の送風機」が増加していると言われます。

(5)ドレンパン

ドレンパンは、熱交換器の排水を集める排水受け皿です。熱交換により発生した結露水や加湿器で噴霧した水蒸気のうち空気に吸収されなかった水をドレンパンに集め、ドレン管を通じて下水へ排水します。

 

 

エアハンの用途

オフィスビル、商業ビル、大ホール、劇場、ショッピングモール、病院、室内競技場、工場など大規模建物の空調設備として利用されています。クリーンルーム、無菌室など高度な温度、湿度、清浄度の空気品質が求められる建物に適した空調設備としても利用されています。
エアハンは主に建築物衛生法の適用を受ける建物に設置されています。

<エアハンが設置される主な施設>

  • 延べ床面積3000平米以上のオフィスビル、商業ビル、劇場、ショッピングモール、研究施設など
  • 延べ床面積8000平米以上の教育施設、研修施設、宿泊施設など

 

エアハンのメンテナンス

フィルター、熱交換器、加湿器、送風機などのユニットで構成されているエアハンは、ユニットごとの分解メンテナンスが必要になります。なおエアハンの耐用年数は、設備の物理的な劣化やメンテナンスコストの観点から、15年が目安と言われています。

 

<メンテナンスの例/ユニット別>

  • フィルター……空気の清浄度を保つフィルターには網目の荒いフィルターから網目の細かいフィルターまで用途に応じて様々なフィルター種類が使われている。しかしいずれの種類も還気や外気から吸引した塵埃が付着しているので、専用の洗浄液で洗浄し、塵埃を除去する必要がある。
  • 熱交換器……熱交換器のドレンタンクにカビが発生するケースがあるため、専用の洗浄液で洗浄する必要がある。
  • 加湿器……水道水の消毒に用いられるカルキ(次亜塩素酸カルシウム)が付着しているので、専用の洗浄液で洗浄しカルキを除去する必要がある。
  • 送風機……送風機も空調過程で塵埃が付着するケースがあるため、専用の洗浄液で洗浄する必要がある。

 

まとめ

エアハン設置を検討する際は、まず自社の建物が建築物衛生法の適用対象であるか否かを確認する必要があります。それにより設備の機能や仕様が変わってくるからです。

例えば建築物衛生法における「空気調和設備」とは、厚生労働省は「エア・フィルター、電気集じん等を用いて外から取り入れた空気等を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給(排出を含む)ができる機器及び附属設備の総体」を指し、「浄化、温度、湿度、流量の調節の4つの機能を備えた設備のこと」と説明しています。

また「機械換気設備」とは、同じく「外から取り入れた空気等を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備」を指し、「空気調和設備のもつ機能のうち、温度調節及び湿度調節の機能を欠く設備のこと」と説明しています。したがって自社が設置を検討しているエアハンが「空気調和設備」に該当している場合は、病原体による空気汚染を防止する衛生上の措置も講じなければなりません。

詳しくは施工実績が豊富な専門企業に相談すると良いでしょう。

 

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