2022.06.20

AHUの構造とは?換気の仕組みや種類から設置の基準まで解説

AHUの構造とは?換気の仕組みや種類から設置の基準まで解説

AHUとは多数の人が集まる、規模が大きな建物に設置される大型の空調設備です。AHUはエアハンドリングユニット(Air Handling Unit)の略称であり、エアハンとも呼ばれます。

AHUは熱交換器をはじめとする複数の機器で構成されています。その構成内容は厚生労働省が定める建築物衛生法に則り、建築物ごとにオーダーメイドで作成しなければなりません。

この記事ではAHUの構造のほかどのような仕組みで室内換気と室内環境の維持を両立させているのか、AHUを設置に関する基準についてご説明します。

AHUとは

AHUとは空気調和機のことです。大規模な建築物の空気を清浄に保ちながら湿度を整え、さらに室内の温度を一定に整える働きをします。AHUは大きな金属製の箱状であり、建物の屋上や外壁の壁沿いといった屋外に設置されるのが一般的です。

AHUのなかには次のような機器が設置されています。

  • 熱交換器
  • 加湿器
  • フィルター
  • 送風機
  • ドレンパン

AHUは設置する建物の規模や性能に合わせて、オーダーメイドで製造します。

熱交換器

AHUの熱交換器は、室内の空気の温度を一定に保つ働きをする装置です。ボイラーやチラーといった熱源装置によって製造した温水もしくは冷水と、空気中の熱を交換します。

なおボイラーは温水を作る装置で、燃料を燃やして水を温めます。一方のチラーとは冷却水循環装置のことで、水をはじめとする液体を循環させて、その冷たい熱で温度を一定に保ちます。

加湿器

加湿器は湿度を調整する役割を担う装置です。湿度が高いと体感温度は高くなり、湿度が低いと体感温度は下がります。室温を維持するためには、空気中の熱量の管理と同時に湿度を管理することが欠かせません。

AHUの加湿器は、熱交換器で温度を調整したあとの空気の湿度を調整しています。

フィルター

室内外の空気をAHUに取り込む際に、空気中の不純物を取り除く役割を果たすのがフィルターです。AHUでは次のいずれかのタイプのフィルターが用いられます。

  • 自動巻取型フィルター
  • 固定設置型フィルター

自動巻取型フィルター

自動巻取型フィルターはロール構造になっており、フィルターが汚れると自動でフィルターを巻き取って交換します。フィルターを交換する手間が不要な反面、機器の設置にスペースが必要です。

固定設置型フィルター

固定設置型フィルターは型枠パネルにフィルターをはめ込み、そのパネルをAHUに取り付ける構造です。フィルター交換を手動でおこなわなければなりませんが、自動巻取型のように機器を設置するスペースを必要としません。省スペースで設置可能です。

送風機

モーターで歯車を回転させ、新鮮な外気を室内へ送り込む装置が送風機です。

これまではVベルトとよばれる、断面がV字型のベルトを使用する機器が主流でした。しかし、Vベルトは摩耗するため定期的な点検や交換が欠かせません。最近ではVベルトを使わないタイプの送風機も増えています。

ドレンパン

熱交換器では高温と低温の熱の移動がおこなわれるため、結露が発生します。AHU内部の機器が水に触れて故障するのを防ぐために、水分の受け皿の役割を果たすのがドレンパンです。集めた排水はドレン管とよばれる配管を通じて下水に排水されます。

AHUを製造する際の基準

AHUを製造する際の基準となるのは、厚生労働省が定める建築物衛生法のなかで指定される建築物環境衛生管理基準の7項目です。

空気調和設備を設けている場合の空気環境の基準

参考:空気調和設備を設けている場合の空気環境の基準(厚生労働省)

なお上記基準は令和4年4月1日に改訂されています。詳細は厚生労働省が発表している「建築物環境衛生管理基準等の見直しについて」をご参照ください。

建築物環境衛生管理基準とは

建築物環境衛生管理基準は、建築物衛生法で定める特定建築物における空気環境を清浄に保つ目的で定められた規範です。

建築物衛生法における特定建築物とは、次の2つの条件を満たす建物のことをさします。

  • 興行場、百貨店、店舗、事務所、学校、共同住宅といった用途で使用
  • 延べ床面積が3,000㎡(学校の場合は8,000㎡)以上

例えば延べ床面積が3,000㎡のスポーツ用の施設があると仮定します。この建物がスポーツをするための施設である場合は特定建築物に該当しません。しかし、不特定多数の人々が集まりスポーツを観覧する施設である場合は、特定建築物に該当する可能性があります。

AHUの仕組み

AHUは水によって空気の加熱や冷却をおこないます。熱源装置で温水や冷水を作りAHUに送り出し、水の熱を空気に移して換気しながら室温を調整する仕組みです。そのためAHUを設置する際は熱源装置を建物の地下といった場所に設置する必要があります。

エアハンドリングユニットの仕組み
参考:エアハンドリングユニットの仕組み(香川県公式サイト)

AHUの種類

AHUは次の2つのタイプに分類できます。

  • 冷温水式AHU
  • 直膨式AHU

冷温水式AHU

冷温水式AHUは熱交換器、加湿器、送風機、フィルタで構成されたAHUです。セントラル空調方式に対応する大容量のものから、個別分散空調方式に対応するコンパクトなタイプまで、さまざまな種類があります。建物の規模や設置条件、用途によって使い分けが可能です。

セントラル空調方式とは

AHUの本体装置が建物全体の空調管理を一括しておこなうのがセントラル空調方式です。AHUで建物全体もしくはフロア単位での空調や室温の管理をおこなうので、居室ごとに管理調整する手間が省けます。大型の建築物でよく利用されるのがセントラル空調方式です。

ただし、セントラル空調方式では各居室単位での電源の入切や温度調整には対応できません。大規模な施設で居室単位での空調操作が必要な場合はセントラル空調方式と個別分散方式を併用すること方法を採用することがあります。

個別分散空調方式とは

エアコンのように各居室に空調機を設置するのが個別分散空調方式です。電源の入切や冷暖房の調整といった機器の操作を居室単位でおこなうことができます。

セントラル空調方式と異なり各居室に空調機を設置するので、機器の管理操作の手間がかかります。その反面、居室単位での空調や室温の調整が可能です。長時間使用しない居室がある場合や居室ごとの空調管理が必要な建物で活用されます。

直膨式AHU

直膨式AHUとはヒートポンプを活用したAHUです。冷温水を作るための熱源装置や水配管が不要なため電力消費が少なく省エネ性能が期待できるほか、設備工事も省力化できます。

機器の構成は冷温水式AHUと同様です。熱交換器、加湿器、送風機、フィルタで構成されています。ただし、熱源は冷温水式AHUと異なりヒートポンプ式の伝熱媒体です。

ヒートポンプとは

ヒートポンプとは空気中の熱を集めて移動させる構造のことです。

気体には圧縮すると温度が上昇し、膨張させると温度が下がる性質があります。この性質を活用して熱を発生させるのがヒートポンプです。室内外から取り込んだ空気に熱を移すことで加熱もしくは冷却をおこないます。

まとめ

中規模から大規模な建築物の室内換気と室温の管理を両立させる空調機器がAHUです。AHUの設置にあたっては、自社が所有する建物が建築物衛生法の適用対象であるか否かをご確認ください。

建築物衛生法の特定建築物である場合は法令を遵守し、必要な機能を満たすに十分な装置の設置が欠かせません。また実際に導入し活用するにあたっては、建物の用途や性質を考慮しながらも使用に伴う電力消費を抑えることもぜひ考慮すべきです。

AHUの導入を検討する際は、種類の多いAHUや法令に関する知識が豊富であり、数多くの施工実績を持つ専門業者にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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