2022.07.02

ガスケットとは?プレート式熱交換器を縁の下で支える部品「ガスケット」を解説!

プレート式熱交換器の複数の金属板を接合してボルトで締め付け、プレート間の流路を形成して熱交換器が正常に作動するために欠かせない部品が「ガスケット」です。具体的にはどのような部材なのでしょうか。

ここではガスケットの基礎と、熱交換器におけるガスケットの役割に注目し解説します。

 

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ガスケットとは

「ガスケット」とは、各種装置の流体漏れを防ぐ密封部品のことで、シールの一種です。

この場合の「シール」とは日本工業規格の「JIS B0116」が規定している「パッキン及びガスケット用語」です。

なお同規格では、シールを「流体の漏れまたは外部からの異物の侵入を防止する機能または密封するための部品」と定義。ガスケットは「フランジ継手などの静止部分に用いるシールの総称。固定用シールまたは静的シールともいう」と定義、パッキンは「回転,往復運動などの運動部に用いるシールの総称。運動用シールまたは動的シールともいう」と定義しています。

 

ガスケットの性能と種類

流体の漏れを防ぐ密封部品であるガスケットには、基本的に次の性能が求められます。

  1. 弾力性……所定の締付圧にて、相手部品の接触表面に十分に馴染むこと。あわせて破壊しないだけの十分な強度を有すること。
  2. 耐熱・耐寒性……装置を使う温度に十分に耐えること。あわせて温度の影響を受けないこと。
  3. 耐圧性……装置を使う圧力に十分に耐えること。あわせて優れたシール密封を発揮すること。
  4. 耐薬品性……装置が、使う酸性・アルカリ性等の流体に侵されないこと
  5. 長期安定性……装置を使う環境において、長期間安定した密封シール性能を発揮すること
  6. メンテナンス性……ガスケットの取り外しや取り付け作業を容易にできること

そしてガスケットは、素材別に次の3種類に分類できます。 

非金属ガスケット

ゴム・繊維・シリコン・合成樹脂等非金属材料のみで作られているガスケットで、単一材料のガスケットと複数材料を組み合わせたガスケットがあります。

非金属ガスケットは,他の2種類のガスケットと比べ柔らかく、馴染み性に優れているので密封締付圧力を低く設定できます。また低温・低圧条件下で使用できるので、一般配管やバルブボンネットを始めとする装置接合部に広く用いられています。

セミメタリックガスケット

金属材料と非金属材料の混合で作られているガスケットです。「渦巻形ガスケット」と「メタルジャケット形ガスケット」が一般に用いられています。

渦巻形ガスケットは,金属材料の薄板と非金属材料のテープを交互に渦巻状に巻き,巻き始めと巻き終わりをスポット溶接で固定したガスケットです。密封性能に優れ、熱サイクル負荷時の応力変化に対する追従性にも優れているので、一般配管から高温・高圧,極低温の各種装置の密封まで幅広い用途に使用されています。

メタルジャケット形ガスケットは,非金属材料の中芯を金属薄板で被覆したガスケット(金属包みのガスケット)です。密封性能は渦巻形ガスケットに劣りますが耐熱性に優れ,用途によって様々な断面形状,平面形状のガスケットを製作できるので、熱交換器,塔,槽などのガスケットに用いられています。

金属ガスケット

金属材料のみで作られているガスケットです。金属の強度と耐熱性を生かせるので、高温・高圧下で使用する装置のガスケットとして用いられることが多く,熱交換器、塔、槽、オートクレーブなどの機器接合部に使用されています。

金属ガスケットの素材は、耐食性の面からはステンレス鋼・チタン・モネル鋼、機器側フランジへの馴染み性の面からは銅・アルミニウム・純鉄・軟鋼などが使われています。

ガスケットとパッキンの違い

ガスケットとパッキンの違いは、「接合部が動くか否か」に尽きます。すなわち、ガスケットは接合部が動かない固定カ所の密封を前提に開発され、パッキンは接合部が動く運動カ所の密封を前提に開発されています。

具体的には次の違いが挙げられます。

性能

ガスケットは固定状態で長期間にわたって流体漏れを防ぐ必要があります。このため耐熱・耐寒・耐圧・耐薬品性や、ボルトの締め付け力の変化に対する圧縮復元性も求められます。

一方、パッキンは接合部が動く運動カ所の流体漏れ防止を目的にしているので、漏れを完全に防止する性能はなく、流体がすこし漏れる構造になっています。漏れを完全に防止すると摩擦熱が大きくなり、接合部が焼き付くからです。

組立精度

ガスケットは材料の弾性変形を利用して流体を密封しています。例えば非金属ガスケットの場合、馴染み性に優れているので密封締付圧力を低く設定できる反面、材料が柔らかいのでボルトで締め付けた時に締め付け方向の寸法が変化します。このため組立精度が若干低くなります。

一方、パッキンは金属材料同士が接合する構造なので、ガスケットより組立精度が高くなります。

使用温度帯

ガスケットには耐熱・耐寒性が求められるので、高温から低温まで広範囲の温度帯に対応できます。

一方、パッキンは低温・常温と使用温度帯が限られています。これは運動カ所で使用するパッキンの摺動部で発生する摩擦熱を考慮しなければならないからです。仮に高温帯でパッキンを使用すると、短時間で変形、性能劣化、亀裂などが発生し、使い物にならなくなります。

アルファ・ラバルのガスケットプレート式熱交換器

ここではガスケットを使用した熱交換器の例として、アルファ・ラバル製ガスケットタイププレート式熱交換器をご紹介します。熱交換器市場において、ガスケットの特性を最大限引き出すことで熱伝達の最適化を図り、コストパフォーマンスの高い熱交換を実現しているモデルです。その理由は、同社が独自に開発した構造と仕組みにあります。

 

関連ページ:アルファ・ラバル製ガスケットタイププレート式熱交換器

構造と仕組み

同製品には、冷間プレスを行った波形プレートが、上部キャリングバーと下部ガイドバーによって、フレームへと取り付けられています。フレームは、固定フレーム、遊動フレームから成り、その間に締付ボルトでプレートを固定。各プレートには、ガスケットが付いています。

この構造によって、ガスケットに密封されたプレート間に流体の流路が作られ、2種類の流体が交互にプレートの両側を流れます。プレートの大きさと枚数は、流体の物性や流性、圧力損失および温度条件により決定する仕組みです。

そしてプレートは、キャリングバーおよびガイドバーによって5点支持しています。この構造により、締付け時に大きな力を加えてもプレートの位置ずれなどは発生せず、組み込んだプレートの任意の1枚を自由に抜き取れる仕組みになっています。

そして熱交換をする2種類の流体は、二重のガスケットで分離しているので、仮にガスケットに破損が生じた場合でも液は外部へ漏れるため、2種類の流体の混合を回避できる仕組みにもなっています。

このように様々な事態を想定した設計、アルファ・ラバル社が独自開発した波形のプレート表面、各プレートに付くガスケットの働きにより、流体の間の熱伝達を最適化しています。

同時に製品ライフサイクル全体において最も費用対効果の高いパフォーマンスを発揮しています。省エネルギーで環境負荷の少ない製品でもあります。

特徴

同製品は、独自の構造と仕組みを有することにより、次の特徴を創出しています。

(1)高い熱交換効率

2種類の流体の流れが完全向流となり、かつ独自の波形プレートによって高い乱流が発生します。これによりわずか1℃の小さな温度差でも効率の良い熱交換ができる他、プレート壁面の汚れ付着を防止しています。

(2)運転の柔軟性

交換熱量を高める場合、プレートの枚数を増やすだけで運転再開が可能です。逆に低下させる場合、枚数を減らすだけで作業が完了します。

(3)素早い応答性

プレートの間の隙間が小さく、かつ流体の内部滞留量が少なめで、運転条件の変化に素早く応答するため、流体の温度調節が極めて容易です。

(4)軽量・コンパクト

筐体は、同じような能力の多管式熱交換器と比べて、3分の1から5分の1と軽量・コンパクトになっています。設置やメンテナンスに必要なスペースが小さく済む他、軽量なので基礎工事も簡単です。

まとめ

熱交換器のガスケットは常に流体に触れています。このため流体の影響を受けやすく、各ベンダが供給している製品の別を問わず定期的なメンテナンスが必要です。

また非金属のゴム材で作られている熱交換器のガスケットは消耗品でもあります。使用の経年劣化により弾力性を失い、液漏れ発生の原因にもなります。弾力性を失った場合は直ちに新品との交換が必要です。

ガスケットの寿命は使用する流体の温度により異なりますが、30℃以下の流体の場合は56年、流体が高温の場合は劣化が早く、寿命は12年程度になります。

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