2022.05.22

全熱交換器とは?高機能換気装置の特徴やメリットを解説

全熱交換器とは?高機能換気装置の特徴やメリットを解説

全熱交換器は機密性が高く、換気がむずかしい建物内でも、空気の質を確保しながら換気することができる高機能換気装置のことです。エアコンをはじめとする空調装置を併用することで、省エネ性能が高まるのも全熱交換器の特徴です。

感染症の拡大防止の観点から、換気に対する意識は高まっています。そこでこの記事では、全熱交換器とはどのような機器か、また使用するメリットや効果を最大化する使用の方法についてご説明します。

全熱交換器とは

全熱交換器とは換気装置の一種です。

全熱交換器は取り込んだ空気中の熱と湿度を調整し、室内の温度や湿度が大きく変動しないように保つ機能を持っています。これによって、季節を問わず室内の空気を快適な状態に保つことが可能になります。

換気方法の種類

室内で利用する換気方法は、自然換気と機械換気に分類できます。

  • 自然換気
  • 機械換気

自然換気

自然換気とは窓を開けるほか、空気が出入りする穴を設けることで換気方法です。特別な機器の設置を伴わないため簡便である反面、外気温や外気の湿度の影響で室内環境が大きく影響を受けます。

また、窓を開けられない建物では自然換気できません。自然換気は建物の立地や階層といった環境によって左右されます。

機械換気

機械換気は強制換気とも呼ばれます。天井や壁に設置した機械で強制的に換気をおこなうのが機械換気です。全熱交換機のほかにも、換気扇を用いた換気方法が機械換気に該当します。

機械換気の3つの方法と、それぞれの特徴をまとめたものが次の表です。

機械換気の種類と吸排気の方法

換気の種類 給気の方法 排気の方法
第1種換気 機械による 機械による
第2種換気 機械による 自然換気
第3種換気 自然換気 機械による

全熱交換器は第1種換気にあたります。全熱交換器は給気排気ともに機械で強制的におこなうため、安定した換気を確保できます。

第2種換気は室内の気圧が外気よりも高く、機密性がある場合に利用されます。一般的な住宅にほとんど使われることはありません。

第3種換気に該当する機器で代表的なものが換気扇です。臭気や湿度が発生する場所で使用するのに向いています。洗面所やキッチンでよく利用されており、3つの換気法のなかでもっとも普及している方法です。

全熱交換器の仕組み

全熱交換器は室内外の空気を取り込んで交換する際に、温度と湿度の調整をおこなう機能を搭載しています。

室内から取り込んだ空気の温度と湿度は、取り込んだ外気に移して室内に放出します。一方の取り込んだ外気に含まれる空気の温度と湿度は、屋外に排出する空気に移す仕組みです。これによって、換気しながら室内の温度と湿度を一定に保つことが可能になります。

夏の暑い日を例に挙げます。このとき全熱交換器の中では、エアコンで冷やされた室内の冷気の冷たさが、室外から取り込んだ熱い空気に移行されています。一方の熱せられた外気からは熱を奪い、排気に移して排出するため、室内に熱風が入り込むことはありません。

これと同時に、湿度の調整もおこなわれています。室内の湿度は室内に、室外の湿度は室外に流れていく空気に移すことで、室内の湿度を一定に保つことができます。湿度は体感温度の高低に影響することから、温度と同様に重要な要素です。

全熱交換器は外気と室内の空気の温度と湿度を交換することによって、室内を快適な状態に保つことができます。

全熱交換器を設置するメリット

全熱交換器には次のようなメリットが期待できます。

  • 室外の状況に左右されない換気
  • 換気量を安定的に確保
  • 汚染物質を取り込みにくい
  • 省エネ

室外の状況に左右されない換気

全熱交換器であれば、暑い夏から寒い冬まで、季節や天候を問わず常に快適な状況で換気をおこなうことができます。

感染症拡大防止の観点から室内換気は今や必須です。しかし、自然換気の場合、夏は暑く冬は寒い空気が入り込むほか、天候次第で十分な換気ができない事態も発生します。

全熱交換機を導入すれば、1年中安心な換気環境が実現します。

換気量を安定的に確保

全熱交換器は1時間あたりで換気できる風量を設定できるため、一定の換気量を確保することが可能です。換気量が安定することによって人の呼吸によって発生する二酸化炭素の濃度が高くなりすぎるのを防ぐ効果が期待できます。

汚染物質を取り込みにくい

全熱交換器は、フィルターを介して外の空気を取り込みます。そのため自然換気のように、ほこりや虫が室内に入り込む可能性が大幅に軽減されるのはメリットです。

省エネ

全熱交換器で換気すれば、エアコンの省エネ効果が期待できます。

換気のたびに室内の温度や湿度が変動すれば、そのたびにエアコンは大きな電力を消費して駆動しなければなりません。エアコンから放出される熱の環境負荷も懸念されます。しかし、全熱交換器を使用すれば室温や湿度を一定に保つことが可能です。

空調効果を最大化することで環境負荷を低減し、省エネ効果につながります。

エアコンとの併用でメリットを最大化

全熱交換器は、エアコンと併用することでメリットを最大化できます。

仮にエアコンがなく室内の気温や湿度が快適な状態に整っていない場合、換気はできますが室温や湿度は維持されるため、全熱交換器の効果を十分に発揮できません。

エアコンの電気代を節約し、室内環境を快適に維持するなら、全熱交換器はエアコンと併用をご検討ください。

全熱交換器の弱点

全熱交換器の弱点には次のようなものがあります。

  • コストがかかる
  • 機密性の低い建物には不向き
  • 臭気や湿度が高い居室に不向き

コストがかかる

全熱交換器を導入するにあたっては、第3種型のように簡易な機器に比べると初期費用がかかります。また、全熱交換器はフィルター交換や換気ダクトの清掃といったメンテナンスが必要です。業者に依頼する必要があるため、維持コストがかかります。

なお、換気ダクトとは空気がとおる煙突部分です。換気ダクトには空気中のホコリが残留しやすく、機器を故障させる原因になります。また、ホコリが湿度を吸収するとカビやダニが発生する可能性も原因になるため、定期的なメンテナンスは欠かせません。

全熱交換器の導入に際しては、初期費用やフィルターの清掃や交換といった維持費も加味してご検討ください。

機密性の低い建物には不向き

全熱交換器は断熱性や機密性が高い建物での換気で効果を発揮できる機器です。

例えば、断熱性能や気密性が低いためにエアコンの効果が十分に行き渡らない建物では、熱回収の効率が悪くなることで、全熱交換器が十分に機能しない可能性があります。

臭気や湿度が高い居室に不向き

全熱交換器はその仕組みの都合上、強い臭いや湿度の発生する場所での使用には不向きです。

全熱交換器は、室内から取り込んだ空気の温度や湿度をそのまま室内に戻す仕組みです。このとき室内から吸い上げた空気に含まれている臭いも室内に戻ります。

例えば、臭いが発生しやすいトイレやキッチン、喫煙スペース、湿度の高い浴室では、臭いや湿度が室内に戻るため、全熱交換器の設置には適しません。臭いや湿度を屋外に排出する必要がある箇所では、換気扇をはじめとするほかの換気機器を検討してください。

まとめ

全熱交換器には、室内換気と空気の快適性を両立させる効果が期待できます。

全熱交換器の機能を最大限発揮させるためには設置場所を適切に選定することや継続使用に備えてコストについて検討することは欠かせません。しかし、機密性の高い建物や多くの人が集まる室内の換気をおこなうなら全熱交換器は有益な機器です。

建物の換気や室内の空気を快適に整えることは、窓を開けられない高層建築のほか、人が集う居室に課された重要な課題です。適切な換気によって建物を安全かつ利用者にとって快適に管理する方法の1つとして、全熱交換器の導入をご検討ください。

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