2020.08.12

熱交換器の洗浄方法とは?タイミングや洗浄液の選び方を解説

熱交換器は、長期間使用していると内部にスケールや油分などの汚れが付着し、本来の性能を十分に発揮できなくなる場合があります。性能低下や設備トラブルを防ぐためには、設備の状態に応じて適切に洗浄することが重要です。

この記事では、熱交換器を洗浄するタイミングや代表的な洗浄方法、洗浄液の選び方についてわかりやすく解説します。

熱交換器を洗浄するタイミング

熱交換器の洗浄時期は、使用する流体や水質、稼働時間、汚れの付着状況などによって異なります。定期的に洗浄することも重要ですが、一律の周期で決めるのではなく、設備の状態を確認しながら判断することが大切です。

例えば、熱交換性能の低下や圧力損失の増加、流量の低下、燃料・電力使用量の増加などが見られる場合は、内部に汚れが蓄積している可能性があります。汚れが軽いうちに洗浄できれば、性能低下や汚れのさらなる蓄積を抑えやすくなります。

熱交換器の主な洗浄方法

熱交換器の洗浄方法は、設備の種類や汚れの程度、運転状況によって異なります。軽度の汚れであれば循環洗浄で対応できる場合もありますが、汚れが蓄積している場合や内部の状態を確認したい場合には、分解して洗浄する方法が選ばれることもあります。ここでは、代表的な洗浄方法を紹介します。

循環洗浄(CIP洗浄)

循環洗浄は、熱交換器を分解せずに洗浄液を循環させ、内部のスケールや汚れを除去する方法です。設備を大きく分解する必要がないため、比較的短時間で作業できる場合があります。また、定期的に実施することで、汚れの蓄積を抑えやすくなる点も特徴です。

洗浄時には、洗浄液の濃度や温度、循環時間などを汚れの状態に合わせて調整します。熱交換器を開放せずに実施できるため、設備の停止時間や作業負担を抑えたい場合にも選ばれる方法です。

ただし、汚れが厚く付着している場合や異物が詰まっている場合は、十分な洗浄効果が得られないこともあります。

開放洗浄(分解洗浄)

開放洗浄(分解洗浄)は、熱交換器を開放し、プレートや内部部品を取り外して洗浄する方法です。プレート一枚一枚の状態を確認しながら洗浄できるため、汚れがひどい場合や長期間メンテナンスを実施していない設備にも対応しやすい方法です。

また、洗浄とあわせてプレートやガスケットの状態を点検できるため、部品の劣化や損傷を早期に発見できる場合もあります。循環洗浄では取り除きにくい固形物や厚く付着した汚れを、直接確認しながら除去できる点も特徴です。

一方で、設備を停止する必要があるほか、作業時間や工数が比較的大きくなる点には注意が必要です。分解や再組立てには専門的な知識も求められるため、設備の構造や状態によってはメーカーや専門業者への依頼を検討します。

洗浄方法は汚れの状況に応じて選ぶ

どの洗浄方法が適しているかは、汚れの種類や付着量、熱交換器の構造によって異なります。例えば、以下のように設備の状態に応じて洗浄方法を選ぶことが重要です。

  • 軽度の汚れや予防保全では、循環洗浄が選択肢となる
  • 汚れが厚く蓄積している場合は、分解洗浄が適することがある
  • プレートやガスケットの状態確認も必要な場合は、分解洗浄を検討する

そのほか、設備を停止できる時間や、熱交換器を開放できる構造かどうかも選定の判断材料になります。循環洗浄で十分な効果が得られない場合は、分解洗浄へ切り替えるなど、洗浄結果を確認しながら対応することも大切です。また、洗浄効果を十分に得るためには、汚れの性質に適した洗浄液を使用することも欠かせません。

関連記事:熱交換器を長持ちさせるには?メンテナンスの方法や必要なタイミングを解説

熱交換器の洗浄液を選ぶポイント

熱交換器を適切に洗浄するためには、洗浄方法だけでなく、状況に応じた洗浄液を選ぶことも重要です。洗浄液が適していないと、十分な洗浄効果が得られなかったり、洗浄時間が長くなったりする場合があります。また、熱交換器の材質によっては、使用できる洗浄液が限られることもあります。

汚れに合った洗浄液を使用する

熱交換器には、使用環境によってさまざまな汚れが付着します。代表的なものとしては、以下があります。

  • カルシウムやマグネシウムなどによるスケール
  • 錆などの腐食生成物
  • 油分
  • 有機物やバイオフィルム
  • 流体に含まれる固形物

汚れの種類によって適した洗浄液や洗浄方法が異なるため、事前に付着物を確認することが重要です。

材質に適した洗浄液を選ぶ

洗浄液は、洗浄力だけで選べばよいわけではありません。酸性やアルカリ性の洗浄液の中には、使用する材質との相性によって腐食や劣化の原因となるものもあります。

そのため、以下の点などを確認したうえで、使用できる洗浄液を選ぶことが重要です。

  • プレート材質
  • ガスケット材質
  • 熱交換器メーカーの推奨条件

また、作業者の安全性や洗浄後の排水処理も考慮して、取り扱い条件を確認することが大切です。

関連記事:ガスケットとは?熱交換器に欠かせない部品を解説!

熱交換器の洗浄を怠るとどうなる?

熱交換器の性能を維持するには、設備の状態に応じた適切なタイミングで洗浄することが重要です。伝熱面や流路にスケールや汚れが付着すると、熱交換効率の低下や圧力損失の増加につながる場合があります。ここでは、洗浄が必要とされる主な理由を紹介します。

汚れやスケールが熱交換効率を低下させる

熱交換器は、流体同士の熱を効率よく受け渡すことで機能しています。しかし、伝熱面にスケールや汚れが付着すると熱が伝わりにくくなり、熱交換効率が低下することがあります。

特に、水質や使用環境によってはスケールが蓄積しやすく、時間の経過とともに性能低下が進むケースも少なくありません。そのため、熱交換器の性能を維持するには、汚れが過度に蓄積する前に洗浄を行うことが重要です。

関連記事:熱交換器の配管内にスケールが付着したらどうすればいい?

エネルギーロスや設備負荷につながる

熱交換効率が低下すると、目的の温度に到達するまでにより多くのエネルギーが必要になる場合があります。その結果、燃料や電力の使用量が増えたり、設備への負荷が大きくなったりする可能性があります。

また、流路に汚れが蓄積すると圧力損失が増加し、流量の低下やポンプ負荷の増加につながるケースもあります。定期的な洗浄によって内部を清潔な状態に保つことは、本来の性能を維持し、設備を安定して運転するためにも重要です。

MDIの熱交換器洗浄液

MDIでは、熱交換器向けの洗浄液「ダイナミックデスケーラー」を取り扱っています。カルシウム・マグネシウム系の水あかやスケールの除去に使用でき、プレート式や多管式、二重管など、さまざまな熱交換器の洗浄に対応しています。

ダイナミックデスケーラーは、金属への影響に配慮したスケール除去液です。ただし、熱交換器の材質や汚れの状態によって適した濃度や洗浄方法は異なるため、使用前には材質との適合性や汚れの溶解性を確認することが大切です。洗浄後には、水による十分なフラッシングも必要になります。

熱交換器の洗浄方法や洗浄液の選定に迷う場合は、設備の構造や使用状況、付着しているスケールの種類を確認したうえで、ダイナミックデスケーラーの適用可否を検討するとよいでしょう。

設備への適用可否や洗浄方法について判断が難しい場合は、MDIまでお気軽にご相談ください。

まとめ

熱交換器は、使用を続けることでスケールや油分などの汚れが付着し、熱交換性能の低下や圧力損失の増加につながる場合があります。そのため、設備の状態に応じて適切な方法で洗浄を行うことが重要です。

洗浄方法には、循環洗浄や分解洗浄があり、汚れの種類や付着状況、設備の構造によって適した方法は異なります。また、洗浄液についても、汚れの性質や熱交換器の材質に合わせて選ぶことで、より効率的な洗浄につながります。

 

お問い合わせ