COP(成績係数)とは?省エネとの関係や熱利用の効率を高める方法

省エネ設備やヒートポンプ、空調機などについて調べていると、「COP」や「成績係数」という言葉を目にすることがあります。何を基準にした数値なのか、なぜ省エネと関係するのか、わかりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。
COPの意味を理解しておくと、ヒートポンプや空調機などの性能を比較しやすくなり、設備の効率やエネルギー使用量を見直す際にも役立ちます。本記事では、COP(成績係数)の意味や計算の考え方、省エネとの関係をわかりやすく解説します。
目次
COP(成績係数)とは
COPとは、投入したエネルギーに対して、どれだけの熱を利用できたかを示す指標です。「Coefficient of Performance」の略で、日本語では「成績係数」と呼ばれます。
COPには冷房効果を示す冷房COPと、暖房効果を示す暖房COPがあり、それぞれを求める計算式は以下のとおりです。
冷房COP=冷房能力(kW)÷冷房消費電力(kW)
暖房COP=暖房能力(kW)÷暖房消費電力(kW)
たとえば、1のエネルギーを使って3に相当する熱を利用できる場合、COPは3と考えます。数値が高いほど、少ないエネルギーで多くの熱を利用できるため、設備の効率を比較するときの目安になります。
工場では、加熱、冷却、温水利用、乾燥工程など、熱を使う場面が多くあります。こうした工程で設備の効率を見直す際にも、COPは判断材料のひとつになるでしょう。
COPと省エネの関係
ここでは、COPと実際に設備を見るときの考え方を解説します。
なぜヒートポンプのCOPは1を上回るのか
通常の運転条件にあるヒートポンプでは、COPが1を超えることが一般的です。ヒートポンプは熱を「作る」のではなく「移動させる」仕組みを持つため、消費したエネルギー以上の熱量を得られます。
ヒートポンプを用いて、工場でコンプレッサーの冷却水や生産工程から出る排気・排水から2kW分の熱を回収した場合、1kWの電力を使って合計3kW分の熱を供給できれば、COPは3です。一方、使った電力以上の熱を出せない電気ヒーターは、COPが1を上回ることはありません。このように、同じ熱量を得る場合でも、ヒートポンプは新たに投入する電力や燃料を抑えやすく、設備全体の省エネにつながります。
加熱・冷却・温水利用の効率を判断する目安になる
ヒートポンプや空調機などを比較するときだけでなく、既存設備の見直しを考える際にも、COPは判断材料のひとつになります。消費したエネルギーに対して、どれだけの熱を供給できているか、または取り除けているかを把握しやすくなるためです。
ただし、カタログなどに記載されるCOPは、一定条件で測定された数値であることが多く、実際の効率は現場の条件によって変わります。熱源温度、利用温度、負荷変動、稼働時間、既存設備との組み合わせによって、同じ設備でも得られる効果は異なります。
空調設備では、実際の使用状況に近い指標である通年エネルギー消費効率(APF)も合わせて確認する必要があります。工場の熱利用を考える際は、COPの数値だけで判断するのではなく、現場の運転条件に合っているかを見てください。
具体的な見直し方は、工場の省エネ対策の記事でも解説しています。
COPを高めるために見直したい温度条件
COPは、設備そのものの性能だけでなく、どのような熱源を使い、どの温度まで熱を利用するかによっても変わります。ここでは、熱源となる温度と実際に利用する温度の差に注目し、COPを高めるために確認したいポイントを解説します。
熱源温度と利用温度の差を小さくする
COPを高めるうえでは、ヒートポンプが回収する熱源温度と、供給する利用温度の差を小さくすることが重要です。
ヒートポンプは、熱源から取り込んだ熱を冷媒に移し、圧縮機で冷媒を圧縮して利用できる温度まで引き上げます。熱を取り込む側の温度と、最終的に使いたい温度の開きが大きいほど、より高い圧力で冷媒を圧縮しなければなりません。その結果、圧縮機の消費電力が大きくなり、COPは下がる傾向があります。
反対に、熱源温度が比較的高く、利用したい温度との差が小さい場合は、少ないエネルギーで必要な熱を得やすくなります。そのため、COPを確認するときは、熱源と利用先の温度条件をセットで見ることが大切です。
必要以上に高い利用温度を避ける
必要以上に高い利用温度を避けることも有効です。利用温度が高くなるほど、熱源温度との差が大きくなり、ヒートポンプにかかる負担も増えやすくなります。
たとえば、工程上は60℃で足りるにもかかわらず、余裕を見て70℃に設定している場合、必要以上に温度差を広げている可能性があります。温度差が大きくなると、同じ熱を利用する場合でも消費エネルギーが増えやすくなります。
工程に必要な温度を無理に下げるのではなく、使用目的に対して過剰な温度設定になっていないかを確認し、必要な温度を適切に見極めましょう。
捨てられている熱を熱源として活用する
捨てられている熱を熱源として活用することも、COPを高める方法のひとつです。工場では、温排水、排気、冷却水、装置まわりの熱などが、十分に使われないまま外へ逃げている場合があります。
たとえば、食品工場で排水されるボイラーブロー水の排熱をボイラー給水の加温に使ったり、燃焼排ガスをヒートポンプ用の熱源として温水製造に活用したりできます。どちらも、これまで捨てていた熱を別の工程で熱源として利用する方法です。
このように、捨てられている熱を回収し、再利用する取り組みを排熱回収と呼びます。検討する際は、どこで熱が発生しているか、その熱をどの工程で使えるか、温度帯が合っているかを確認しましょう。
排熱や低温熱源を有効に使うには、発生している熱の温度帯、利用先、既存設備との組み合わせを整理することが大切です。MDI株式会社では、ボイラーブロー水の排熱利用や、燃焼排ガスをヒートポンプ用熱源として活用する導入事例も紹介しています。
具体的な検討を進める際は、熱エネルギー診断や排熱回収の考え方を紹介している省エネ/排熱回収コンサルティングのページも参考にしてみてください。
関連記事:排熱回収のメリットは?利用できる熱源や注意点についても解説
まとめ
COP(成績係数)は、消費したエネルギーに対して得られる熱量の大きさを表すものです。ヒートポンプや空調機などの効率を見る際に使われ、数値が高いほど省エネにつながりやすくなります。
ただし、実際の効率は熱源温度や利用温度、運転条件によって変わります。COPの数値だけで判断せず、現場でどのように熱を使うかを確認してください。
工場の熱利用を見直す際は、捨てられている熱を活用できないか、必要な温度設定になっているかを確認し、省エネや排熱回収の検討につなげていきましょう。

